館長だより

聞いておきたかった家族の被爆体験

2026/06/08

祈念館のアジサイが美しく咲き、梅雨の訪れを感じさせてくれています。

みなさま、こんにちは。国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館長の野瀬です。

先日、ヴィッセル神戸のユニホームを着たお客様が、手記閲覧室の端末で、熱心に被爆体験記を閲覧されていました。かなり長い時間閲覧しておられたので、「何かお手伝いすることはありませんか?」とお尋ねしてみました。

その方は神戸にお住まいの方で、何年か前に亡くなられたお父様のご遺影を最近広島の祈念館で登録されたそうです。長崎の祈念館でも閲覧できるとの説明を受けていたので、サッカー観戦での来崎の際に、ご遺影を見ようと来館されたとのことでした。

また、広島で被爆されたお父様から被爆体験は、ほとんど聞いたことがなかったそうですが、亡くなられてから被爆体験を聞いておけばよかったなと思いはじめたそうです。来館されて、被爆した場所や所属していた組織・学校などから被爆体験記の検索ができることがわかり、お父様が所属されていた「暁部隊」に関係する被爆体験記を検索し、読まれたそうです。「暁部隊での被爆体験記を読みこんでいって、父が体験したであろう壮絶な被爆の状況をはじめて知ることができた」と、話されていました。

そして、「なぜ父が被爆体験を自分たちに語りたくなかったのか、語れなかったのか、父の心情が理解できたような気がする」とも言われていました。ご家族にも祈念館に行くことを勧めたいとおっしゃっていただきました。

この方のように、ご家族で被爆体験を継承していただくことはとても意味があることだと思います。また、そのような継承の力となることは、祈念館の重要な役割の一つだと思います。今後も、「父や母から被爆体験を聞いておけばよかった」「祖父や祖母の被爆の状況を知りたい」といった思いがある方々のお手伝いができるよう、祈念館としてさらに努力していきたいと思っています。

今回の件は、祈念館への来館のきっかけとなったV・ファーレン長崎とピーススタジアムあってのことです。V・ファーレン長崎とピーススタジアムに敬意と感謝を表したいと思います。

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