館長だより

被爆体験記を読むためには

2024/09/20

みなさま、こんにちは。国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館長の野瀬です。

9月中旬に入りましたが、まだまだ暑い日が続いています。
写真を撮るために少し外に出ましたが、日差しは真夏そのものです。

それでも、暦の上では秋に入り、祈念館でも、修学旅行や平和学習で来館する児童・生徒さんが、これから多くなるシーズンとなりました。現在の予約状況は、昨年度を上回っており、児童・生徒さんの学びをしっかりサポートしていきたいと考えているところです。

祈念館に勤務していると被爆体験記を読む機会がたくさんあります。自筆で書かれた体験記を読むと、旧字体で書かれた漢字、変体仮名、くずした文字などが使われていて、なかなか読めずに苦労することがあります。

また、体験記をしっかり理解するためには、道路や電車軌道の位置や幅、今は埋め立てられている水路など、当時の街のかたちが、現在とは大きく違っていることをわかっておくことも必要です。

さらに、防空頭巾やモンペなどの衣服、当時の食べ物、被爆後の住まいなど、今とは大きく異なる生活環境を、現代の子どもたちに説明することは、かなり難しいことです。

これまでも、祈念館事業の被爆体験記の聞き取りや、来館者からの様々な質問でわからないことがあった場合は、書籍等で調べることはもとより、被爆者の方々、原爆資料館の学芸員さんや写真資料調査部会のみなさんなどの様々な方々のご協力をいただくなどにより、的確な対応が図れるよう努力してきたところです。

今後とも、被爆の実相を次の世代にしっかりと伝えていくために、職員とともに、昭和20年当時の長崎の街や人々のくらしについての学びをさらに深めていきたいと考えています。

当サイトの写真・文章の無断転用はできません。
Copying photos and sentences without permission is prohibited.

Copyright © 2009-2024 Nagasaki National Peace Memorial Hall for the Atomic Bomb Victims. All Rights Reserved.