館長だより
「被爆者の思い」を未来へ――森田孝子書道展を振り返って
2026/11/06
みなさま、こんにちは。
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館長の野瀬です。
心地よい秋風が吹き抜けるなか、祈念館では多くの修学旅行生や国内外からの来館者をお迎えする日々が続いております。
祈念館の交流ラウンジを会場として、10月31日から11月5日までの期間、原爆死没者名簿筆耕 森田孝子書道展「平和への願いを書に託して ~被爆81年長崎から~」が開催されました。期間中に足を運んでくださった多くの皆様に、心より御礼申し上げます。
森田孝子先生は、2002年から長崎原爆の日に奉安される「原爆死没者名簿」の筆耕を長年担われており、祈念館にとっても大変深いご縁のある方です。また、書道家として、被爆者の方々の悲痛な訴えや平和への思いを「書」として発信される活動にも取り組んでおられます。
今回の書道展では、新作を含む28点の作品が展示されました。その中の一つに、爆心地から約1.3キロで11歳の時に被爆された松尾幸子さんの言葉を紡いだ作品があります。森田さんが松尾さんの修学旅行生への講話に同行し、その場で心に深く刻まれた言葉、「決して忘れてはいけない」という強いメッセージが、墨の力強い文字によって表現されていました。
また、会場には森田さんの書道教室に通う子どもたちの純粋な平和への想いが込められた書も並び、次の世代へ確かにバトンが渡されていることを実感させられる、心温まる空間となっていました。
「書」には、語り手の体温や、それを墨に託した書き手の祈りが宿ります。交流ラウンジに並んだ作品を拝見していると、被爆者の方々の「生きた証」や「次世代への願い」が、静かに、しかし強く胸に迫ってくるようでした。
被爆から81年が経過し、記憶の継承がますます重要な課題となる今、祈念館はこれからも、このような素晴らしい活動をされる方々と力を合わせ、発信する拠点でありたいと願っています。
改めて、開催にご尽力いただいた森田孝子先生をはじめとする関係者の皆様、そして作品を鑑賞していただいたすべての来館者の皆様に感謝申し上げます。
交流ラウンジでは、今後も様々なイベントを予定しています。その時々の平和への取り組みに触れてみてください。スタッフ一同、皆様のご来館を心よりお待ちしております。


