館長だより
「原爆死没者名簿の風通し」が行われました
2023/05/26
皆さま、こんにちは。
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の館長 高比良です。
5月17日(水)に祈念館交流ラウンジで「原爆死没者名簿の風通し」が行われました。この行事は、長崎の平和行事の始まりをお知らせする「風物詩」として、毎年、多くのマスコミが取材に集まります。
11:02にアンジェラスの鐘の音が流されて、黒と白の清楚な服装の長崎市職員が黙祷してから、「風通し」の作業が始まります。白い手袋をして1枚1枚、名簿に汚れがないか、破損がないか、確認します。
私の市役所在職中は、この「風通し」を平和祈念像前の平和公園で行っており、天気の良い日には流れる汗を名簿に落とさないように苦労したものです。それに比べて、日陰の下で行う作業は本当に楽になりました。
さて、今年は、毎年原爆死没者名簿を執筆される書道家の森田孝子先生が見学に来ていました。約20年近く原爆死没者名簿の執筆をされているそうですが、初めて見学されたそうです。森田先生は「風通しを見学して、さらに平和の想いが強くなりました。」と語られました。
私は、「湿度が調整された中で死没者名簿は保管されているのに、風通しは、本当に必要なのか?」と思っていましたが、今回、森田先生の言葉を聞いて、「風通し」のことをもっと多くの人に知ってもらいたいという思いが強くなりました。
長崎の祈念館には、原爆死没者名簿が奉安されています。現在、197冊、192,399人分の名簿ですが、単なる数字ではなくて、1人ひとりの人生があったことを思うと改めて平和を祈念する心が強くなります。
長崎の祈念館は、原爆死没者を追悼し祈念する施設です。
皆さん、ぜひ足を運んでは、いかがでしょうか。