館長だより

「被爆者ゲノム初解析」の報道について

2023/06/09

皆さま、こんにちは。
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の館長 高比良です。

令和5年6月2日(金)の長崎新聞に「被爆者ゲノム初解析」の記事で、「放影研が突然変異を調査」するというものですが、被爆者から「正確な情報を丁寧に説明して欲しい」と意見が付されています。
記事を読む限り、理解することが少々難しいですが、私なりに「被爆者ゲノム初解析とは、放影研が被爆二世の遺伝的影響の調査を行う」ことと理解しました。

これまで被爆二世の遺伝的影響については、広島や長崎の多くの科学者によって調査されてきましたが、親の被爆と二世への健康影響の関連性が科学的に証明されていません。
聞くところによると、被爆者のDNAは大量の放射線を浴びることで、突然変異が発生し、ガン発症にも影響を及ぼすと言われています。今回のゲノム調査は、遺伝的影響調査の最後の手段とも言われておりますが、健康影響の因果関係の解明までは時間がかかるみたいです。
両親が被爆者で被爆二世の私も、今回の調査結果については大いに関心があります。私の子どもが生まれた時に、まず考えたのが「五体満足か?指は5本か?」でした。今回の調査結果次第では、被爆二世三世の苦しみが今後長きにわたって続くことになります。

追悼空間に奉安されている原爆死没者名簿は、当初、沖縄「平和の礎」の刻銘のように全ての原爆死没者名簿を明記することが検討されましたが、被爆者への差別や被爆二世三世への影響などを考慮して“非公開”となったそうです。

長崎の祈念館は、原爆死没者の追悼と平和を祈念する施設です。祈念館の取り組みにご理解とご協力をお願いします。

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