館長だより

立川さんの「原爆日記」から・・・朗読会

2023/06/15

皆さま、こんにちは。
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の館長 高比良です。

毎月9日は、朗読ボランティア「永遠の会」による朗読会「9日を忘れない」です。6月9日(金)は被爆者の立川裕子さん(被爆当時14歳)の「原爆日記」からの朗読会でした。
立川(旧姓南里)裕子さんは、当時、長崎高等女学校2年生で爆心地から1.2キロの三菱兵器大橋工場(現在の長崎大学文教キャンパス)で被爆。工場は全滅し、立川さんは友人と逃げ、住吉トンネル工場から道ノ尾駅、そこで8月9日最後の救援列車に乗りました。
翌朝、救援列車で川棚駅に到着。「川棚海軍工廠行員養成所」臨時救護所で治療を受けます。顔の傷や手の傷からガラスの破片がたくさん出て、長崎高等女学校の徽章も血まみれになっていました。
立川さんは被爆後1週間近く行方不明でした。その間、立川さんの父親は三菱兵器大橋工場付近など爆心地を中心に探して回ったそうです。その後父親は原爆症で亡くなっています。立川さんは傷の治療のために約半年間、学校を休学しました。この時に書かれたのが「原爆日記」で、被爆から3日間、壮絶な原爆体験記として貴重な資料です。

立川さんの「原爆日記」ですが、吉村文庫から英語対訳つきで出版されており、原爆資料館ミュージアムショップで1冊500円(税込)で販売されています。Amazonでも、電子書籍版が購入可能だそうです。

また、原爆資料館の企画展示室で現在開催されている「収蔵資料展」に、立川さんの「原爆日記」と血で黒くなった徽章やガラス破片などが展示されてあります。実際の展示では、体に入っていたガラス破片の大きさに驚きます。

長崎の祈念館では、「永遠の会」の活動など被爆の実相を伝える事業に取り組んでいます。今後とも祈念館の取り組みにご理解とご協力をお願いします。

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