館長だより
8月9日、台風接近の「平和祈念式典」
2023/08/10
皆さま、こんにちは。
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の館長 高比良です。
台風6号の接近に伴い、今年の平和祈念式典の会場が出島メッセ長崎へ変更されました。参列者の安全確保のために、来賓者、式典出場者及び被爆者、遺族の代表者のほか、全ての参列が中止されました。
被爆者の中には「被爆者が平和祈念式典に参加ができないのは残念!」との声もありますが、参列者の安全を考えるならば、長崎市の決断は「苦渋の選択」と言わざるを得ないと思います。
昔、私が平和祈念式典を担当していた時も、台風は容赦なく襲ってきて何度も大テントの設営変更を行いました。式典の数日前から台風情報が気になり、台風接近の場合は本当にパニックになりそうでした。
ある時は、式典会場付近に雷が落ちテレビ局の放送車輛が使えなくなり周辺住宅の電化製品も一部故障したと聞きます。安全のために大テントに避雷針を取り付けるようになったのもその頃だと記憶しています。
今回は実に60年ぶりの屋内開催となりました。長崎市の原爆被爆者対策事業概要によれば「昭和38年 雨天により会場を長崎国際文化会館講堂に変更。放鳩を除き、予定のプログラムで進行した」そうです。
当時の長崎市長は田川務(つとむ)さんで、現在の鈴木史朗長崎市長の祖父と聞きます。
8月9日(水)は原爆落下中心碑前で黙祷して出勤。再び11時2分に黙祷し長崎平和宣言を聞きます。その中で「過去の苦しみなど忘れ去られつつあるようにみえます。私はその忘却を恐れます。忘却が新しい原爆肯定へと流れていくことを恐れます。」と谷口稜曄さんの言葉が心に沁みます。
長崎の祈念館では、原爆で亡くなった原爆犠牲者を追悼するとともに永遠の平和を祈念します。祈念館の取り組みにご理解とご協力をお願いします。