館長だより

青森市と三沢市で被爆ビデオの収録立会でした。

2023/10/18

皆さま、こんにちは。追悼平和祈念館の館長 高比良です。

10月8日(日)~10日(火)の2泊3日で青森県の青森市と三沢市へ証言ビデオの収録立会のために出張しました。長崎空港から羽田空港で乗り継ぎ、青森空港までの長い「空の旅」でした。

青森空港からバスを利用、柳町通りのバス停で降りて携帯を片手にナビで収録会場に向かいます。偶然に、青森県原爆被害者の会の辻村泰子さんが車で通りかかり「高比良館長さんですか?」と声をかけていただきました。辻村さんには青森県の色々な情報を教えていただきました。

青森市では、広島と長崎の両市で被爆したFさん、三沢市では、長崎県高等女学校の先輩後輩のSさんとNさん、3人の被爆体験証言を収録しました。広島から列車で長崎に向かったFさんは、8月9日の夜に道ノ尾駅で降りて、弟さんの手を引き、北大浦町の親戚宅まで歩いて爆心地を通りました。途中、列車の中でもらった桃がとても美味しかったそうです。銭座町の自宅で被爆したNさんは、金毘羅山に避難し、そこで野宿して鳴滝の親戚宅へ身を寄せました。縁側の隣で被爆したお姉さんは亡くなりました。学徒動員先の三菱兵器工場(大橋)で被爆したSさんは、三菱の道ノ尾寮に身を寄せ、3日後に時津町の親戚宅に行きました。Sさんは同級生の林京子さん(作家)とも仲が良かったそうです。

3人の被爆者はとても素敵な方でしたが、被爆体験は壮絶なもので、自ら体験を語るには大きな覚悟が必要であったと思われます。収録では、悲惨な被爆体験からプライベートの話にも及び、時々目には涙も浮かびました。収録後に、被爆者の方から「今回、被爆体験を話せて良かった!」と言っていただいた時には、思わずホッとしました。3人は長崎から遠い東北の地で苦労されたとも聞きます。そして、青森県原爆被害者の会の辻村さんから「青森県内に120名程おられた被爆者は、現在30数名になり、今では長崎出身の方が多いです。」と。

長崎の祈念館では、被爆者証言ビデオの収録をはじめ、被爆体験を残す取り組みを行っています。祈念館の取り組みにご理解とご協力をお願いします。

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