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追悼平和祈念館の役割は

2013年8月1日
追悼平和祈念館は平成15年7月6日、被爆者援護法第41条に基づき多くの原爆死没者の犠牲を銘記し、恒久平和を祈念するために建設された国立の施設であり、今年、開館10周年を迎えました。その設立目的は①死没者への追悼と世界平和を祈念する ②原爆に関する資料の収集と利用 ③国際協力と国際交流です。
原爆資料館と追悼平和祈念館はまさに一体となって併設されていますが、追悼平和祈念館の入場者は、原爆資料館の13から14%に過ぎず、各年の入館者はおよそ9万人を前後していました。より多くの人々が資料館と共に追悼空間を訪れて祈りを捧げていただきたいと考えていますが、いまだ観光客のみならず、市民の認知度は高いとは言えません。
しかしながら、昨年、今年と入館者は増加傾向にあり、昨年度は原爆資料館の入場者の15.2%になりました。これは追悼平和祈念館の実施する事業(映画フォーラム、朗読発表、核兵器廃絶市民講座、被爆者健康講話など)の開催や追悼空間での追悼集会の実施が大きく伸びている要因です。
そこで、今まで以上に「資料館で知り、祈念館で祈る」というコンセプトのもとにこの平和の丘にある両館が協力し相乗効果をもたらしながら、両館の一体化を進め、認知度が高まるように努めていかなければなりません。
考えるに、追悼平和祈念館は本当に価値ある素晴らしい空間を持った施設です。長崎において世界に平和を訴え祈る貴重な場所です。ここが市民を始め多くの方々不案内なのはなぜだろうか。「資料館で知り、祈念館で祈る」と言うコンセプトがいまだ浸透していないのでしょう。被爆の継承は過去の実相を認識することから始まり未来へしっかりと真実を伝えなければなりません。名簿に記された原爆死没者(158,754名、今年の8月9日には新たに約3,000余名のお名前を奉安予定)は、単なる戦争犠牲者ではない。核兵器と言う、人類そのものを完璧に抹消する悪魔の手段にさらされた方々なのです。核兵器は人道性を否定し、自然への無謀な挑戦に挑む絶対悪と言えます。
 ここ「平和の丘」にはそのことを無言のうちに知る、感じることができる何かがあります。原爆資料館を訪れた人は被爆の実相を知り、心を痛めます。その後、人々は祈念館の追悼空間で祈りを捧げることで自分の心に素直に問いかけ、亡くなられた多くの死没者に追悼の誠を示すのです。平和とは戦争をなくすだけではない。病貧争などの非平和をなくす気持ちが顕れる世界です。追悼平和祈念館は平和を強く意識する場所なのです。
 長崎は世界都市として飛躍し、世界に存在を示す「平和の発信もと」になることが課題であり使命でもと思います。

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